与党会派が県に日米共同演習の反対を要請
はいさい、ぐすーよーちゅーうがなびら。
10日から大規模な日米共同統合演習「キーン・ソード23」が始まります。県議会与党会派の各代表は9日、県庁で池田竹州副知事と面会し、同演習の実施、米軍による自衛隊施設の共同使用、民間空港・港湾使用に反対することなどを要請しました。
要請では、1971年の「屋良覚書」で「民間空港以外の目的には使用しない」とされている下地島空港の軍事利用を認めず、日米両政府に対し、地域の緊張を高める軍事演習・態勢の強化を中止し、平和的な対話・外交による緊張緩和・信頼醸成に取り組むことを粘り強く働きかけることなども求めています。
同演習では、民間の与那国空港に自衛隊の輸送機で105ミリ砲を搭載する16式機動戦闘車(MCV)を運び、公道を自走させる訓練も計画されています。
8日には民間の中城湾港に防衛省がチャーターした民間船が接岸。自衛隊の車両や人員が陸揚げされ、車両が公道を走行し市街地を移動しました。
要請で日本共産党の渡久地県議団長は、同演習などでの民間空港・港湾使用や、南西諸島のミサイル基地化などの動きは、沖縄に軍の飛行場や司令部などを築き沖縄戦に突入していった「戦前の動きと一緒だ」と指摘。なし崩し的に軍事化が進むことで「沖縄を再び戦場にさせてはならない」と訴えました。
池田副知事は、与那国島でのMCVの公道自走計画について防衛省沖縄防衛局に対し、南西諸島の緊張を高め、住民に不安を生じさせる懸念があることを再三にわたり伝えていることを説明。「緊急時以外は民間空港および港湾を使用するべきではない」と述べました。
ウクライナの事態から引き出すべき教訓は、戦争が始まる前にそれを止めるということです。そのためには、力による対決に陥る軍事力や軍事同盟の強化ではなく、地域のすべての国を包み込んだ平和の枠組みをつくり、「力対力」ではなく、「外交による平和」をめざすことが重要です。
ASEANは1976年に締結した東南アジア友好協力条約(TAC)を土台に、平和と協力の地域を築き上げる努力を半世紀近く続けてきました。TACは「紛争の平和的手段による解決」「武力による威嚇または武力の行使の放棄」を明記しています。
ASEAN10カ国と日米中など8カ国で構成する東アジアサミット(EAS)を強化し、TACの原則にそくして、東アジア規模の友好協力条約を展望する構想を提起しています。ASEANインド太平洋構想(AOIP)です。
2019年6月のASEAN首脳会議はAOIPの目的、原則などを採択しました。「対抗でなく対話と協力のインド太平洋地域」をめざすことや、ゆくゆくは東アジア全体でTACの平和原則が国家関係の規範となるようにすることを提唱しています。軍事ブロックのように、特定の国を仮想敵に見立てて排除する仕組みと対極的な方向です。
EASを活用して東アジア規模のTACを締結し、戦争の心配のない平和な地域を築こうというのが日本共産党の「外交ビジョン」です。AOIPはこの方向と合致しています。現に存在するEASを発展させる点で、どの国も賛成しうる現実性のある提案です。
シンガポールのリー・シェンロン首相は都内の講演(5月26日)で「アジアでは、不運にも紛争が起きた場合にいかによりよく備えるかだけでなく、地域の平和と安定を維持し、そもそもの紛争の危険性を減らすため、トラブルが起こる前に、いかにともに仕事をするかを考えるべきだ」と述べています。その上で「地域の安全保障を個々の国の観点だけから見れば、軍拡競争と不安定な結果をもたらしかねない」と警告しました。
東アジアを戦争の恐れのない平和な地域にしていくため、憲法9条を生かした平和外交が今ほど強く求められている時はありません。紛争の平和的解決を安全保障の第一に据え、ASEANと協力してAOIPを本気で推進することが日本に求められている役割です。
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