1、知事の政治姿勢について。
(1)、知事は常々、戦後の荒廃した時代に、望まなくても基地経済に依存させられた時代と違って、今は基地に反対し経済発展を目指すことが両立できる時代であり、県民が対立するのではなく、誇りある豊かさをスローガンに、保守・革新が心を一つにしてアジアと世界のかけ橋の道を歩んでいこうと語っています。保革が心を一つにオール沖縄ができた背景と、誇りある豊かさの公約はどこまで実現できたのか、所見を伺います。
知事(翁長雄志)
平成25年1月に行われたオスプレイの普天間基地配備撤回を求める東京要請行動において、オスプレイ配備に反対する沖縄県民大会実行委員会、沖縄県議会、市町村関係4団体、市町村、市町村議会の連名で、安倍総理大臣及び関係閣僚に直接建白書を提出したことは、大きな意義があったものと考えております。あの要請行動が、オール沖縄ができた背景であると考えております。また私は、知事就任以来、経済発展、生活充実、平和創造の3つの視点から、誇りある豊かさという公約の着実な実現に向けて取り組み、そのほとんどについて着手し、推進しているところであります。
引き続き、辺野古新基地建設の阻止など沖縄の過重な基地負担の軽減、沖縄県の経済発展及び県民生活の向上に向け、全力で取り組んでまいりたいと考えております。
(2)、総選挙で、沖縄の4つの小選挙区のうち1区、2区、3区で辺野古新基地建設に反対するオール沖縄の候補者が勝利しました。その勝利は新基地建設に反対する県民の民意がはっきり示された結果です。その結果についての所見を伺います。
知事(翁長雄志)
今回の衆議院総選挙は、全国的には政府与党が圧勝する結果となりましたが、沖縄選挙区においては、4選挙区のうち3選挙区でオール沖縄の候補者が勝利し、辺野古新基地建設反対、普天間飛行場の早期の閉鎖・撤去、オスプレイ配備撤回を求める沖縄の民意が改めて示されたものと考えております。
2、辺野古新基地建設の問題について。
(1)、沖縄防衛局が大浦湾北側のK9護岸に接岸して石材を搬入している工法は、埋立申請の環境保全図書にも記載されていない違法な工事ではないか。民意を無視し強引に工事を強行する防衛局のやり方は許されません。違法な工事に対する見解を伺います。
土木建築部長(宮城理)
K9護岸を使用した資材の海上搬入については、環境保全図書で予測されておりません。資材の海上搬入については、環境保全図書を変更して環境保全措置を講じる必要があることから、県は、沖縄防衛局に対して、文書で、留意事項4に基づく変更承認を受けるよう求めているところであります。
(2)、国頭村奥港を使用した海上搬入に、奥集落は23日の区民総会で港の使用反対を全会一致で決議した。奥区民は辺野古新基地建設が県民の人権、民主主義にかかわる問題であるように、奥港の使用は区民の民意に背くものとの声が上がっています。区民全会一致の民意を尊重して、奥港の使用許可を撤回すべきです。見解を伺います。
土木建築部長(宮城理)
奥港については、6月下旬に北部土木事務所に対して、岸壁及び港湾施設用地に係る使用許可申請が提出され、その申請が普天間飛行場代替施設建設事業の承認願書にかかわる内容であったことから、北部土木事務所から土木建築部に処理方針の照会があり、知事公室に報告・調整し、対応を検討しております。港湾施設の使用許可については、港湾関係法令上、港湾施設を損傷するおそれがあるときなど、公物管理の観点から支障を来すおそれが高い場合を除いては、許可することが適当とされ、他法令の手続との整合性や特定の船籍、特定の仕向港・仕出港であることを理由に不許可にすることは、何人に対しても不平等な取り扱いをしてはならないと規定する港湾法に抵触することとなります。また、知事公室を通じて弁護士に相談した上で、港湾関係法令に基づき、9月上旬に使用許可を行ったところであります。その後、許可を受けた者において、11月13日に石材の搬出が行われましたが、港湾の利用に起因し、住民の生活環境に重大な悪影響があったとして、地域住民から県に対し、切実な訴えがなされております。また、奥区においては、11月23日の区民総会において、辺野古新基地建設に係る奥港使用に反対する奥区民決議が全会一致で採択され、11月28日には県に対して要請がありました。
これらの状況も踏まえ、県は、港湾管理上の必要性から、去る11月30日に、許可を受けた者に対して、使用許可の指令条件に基づき、事実確認を含めた指示を行ったところでございます。
(3)、防衛局はサンゴの移植・移築もしないで護岸工事をしています。K9護岸予定地には移植を要するサンゴ類が分布していないと、でたらめな主張で工事を強行している。分布していないと言っていた辺野古の埋立予定地に絶滅危惧種のオキナワハマサンゴなど14群体が発見され、そのうち13群体が死滅、消失したと報告されております。死滅した13群体のサンゴの希少種について問いたいと思います。希少種で絶滅危惧種であるオキナワハマサンゴについても問います。
環境部長(大浜浩志)
沖縄防衛局が実施した調査で発見されたサンゴ14群体のうち、死滅した13群体の内訳は、オキナワハマサンゴが1群体、ヒメサンゴが12群体となっております。オキナワハマサンゴは絶滅危惧Ⅱ類で、絶滅の危険が増大している種とされております。また、ヒメサンゴは準絶滅危惧で、現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては絶滅危惧に移行する可能性がある種とされております。
県としましては、海洋生物レッドリスト掲載種のサンゴ類については、種の保存や生物多様性の保全の観点から、適切な配慮がなされる必要があると考えております。
(4)、13群体の死滅を放置し、報告することなく絶滅危惧種のオキナワハマサンゴだけに限って採捕許可を申請するこそくなやり方。これは防衛省がサンゴ保護を装って実際にはサンゴや自然環境に配慮することなく工事を強行する県民だましである。そのような違法工事は中止すべきだと考えておりますが、見解を伺います。
土木建築部長(宮城理)
普天間飛行場代替施設建設事業の環境保全図書において、沖縄防衛局は、サンゴ類の環境保全措置として、事業実施前に、移植・移築作業の手順、移植・移築先の環境条件やサンゴ類の種類による環境適応性、採捕したサンゴ類の仮置き・養生といった具体的方策について専門家の指導・助言を得て、可能な限り工事施工区域外の同様な環境条件の場所に移植・移築して影響の低減を図ると記載していることから、県は工事を停止した上で、サンゴ類の環境保全措置の確実な履行を求めてきたところであります。引き続き、沖縄防衛局に対して、当該図書に記載したとおり、環境保全措置を確実に実施するよう求めてまいります。
3、米軍基地問題について。
(1)、またしても米海兵隊が飲酒運転で会社員を死亡させる事故が起こりました。県議会は米海兵隊の早期の国外、県外への移転を求めることなども含めた5つの事項を要請する意見書と抗議決議を全会一致で議決いたしました。全会一致に対する知事の見解を伺います。
知事公室長(謝花喜一郎)
在沖米海兵隊員による飲酒運転死亡事故に関する意見書及び抗議決議が全会一致で議決されたことは、県議会の強い意思表明として、重く受けとめております。県は、12月2日に河野外務大臣に対して手交した要望書の中で、県議会の意見書にも触れ、これらの対策も含め、事件・事故の再発防止に向け、これまでの取り組みを超えたより効果的な対策の実施を強く求めたところであります。
(2)、10月11日午後6時過ぎ、高江に米軍大型ヘリCH53Eが墜落炎上しました。このCH53Eヘリは北部訓練場でのヘリパッド訓練を行った後、東村高江地区の民間の牧草地上空で火災を起こし、炎上墜落いたしました。墜落現場の100メートル先では牧場の主が作業を行っていて、住宅は3メートルという目と鼻の先です。墜落機CH53Eヘリは放射性物質ストロンチウム90が使用されており、墜落した周辺には、県民の水がめである福地ダムがあります。こうした放射性物質による汚染は深刻な問題です。汚染についての見解を伺います。
知事公室長(謝花喜一郎)
今回のCH53Eの不時着、炎上事故では、放射性物質による汚染は確認されておりませんが、事故現場周辺には県民の水がめである福地ダムが存在しており、一歩間違えば、水源の汚染につながりかねない事故であったと考えております。このことから、県は、12月2日に河野外務大臣に対して手交した要望書の中で、ダム上空での飛行訓練中止等を含め、米軍の演習のあり方を見直すよう国に対して求めたところであります。
(3)、CH53E米軍ヘリが民有地で炎上・大破した事故で放射性物質の汚染などが懸念されているにもかかわらず、警察や県の立入調査ができませんでした。このような屈辱的な現状を正すには、日米地位協定の抜本的見直しが必要です。見解を伺います。
知事公室長(謝花喜一郎)
東村高江におけるCH53Eの不時着、炎上事故の対応に関して、米軍が行っている事故現場の立入規制や機体の撤去等は、日米地位協定第17条10項(b)の規定や、日本国内における合衆国軍隊の使用する施設・区域外での合衆国軍用航空機事故に関するガイドライン等に基づいて行われたものと認識しております。
県は、去る9月に実施した日米地位協定の見直しに関する要請の中で、第17条関係において、米軍の財産が施設及び区域の外にある場合には、日本国の当局が捜索、差し押さえまたは検証を行う権利を行使する旨を明記すること及び事故現場等の必要な統制は、日本国の当局主導のもとに行われる旨の明記を求めているところであります。
(4)、北大東村の沖大東島から南東530キロの公海上で、米海軍の原子力空母ロナルド・レーガン艦載のC2輸送機が墜落し、県民に大きな不安を与えた。たび重なる米軍機の墜落事故の実態について伺います。
知事公室長(謝花喜一郎)
県が把握している米軍航空機墜落事故は、復帰後47件となっております。昨年だけでも、県内では9月にAV8ハリアー戦闘攻撃機が沖縄東方海上で、12月にはMV22オスプレイが名護市東海岸沖合で墜落事故を起こしております。
(5)、嘉手納基地へのF35などの外来機の飛来訓練、騒音などの実態を伺います。騒音が激化し、周辺自治体は負担軽減に逆行すると強く反発しています。また、パラシュート降下訓練や外来機等の訓練などの実態も伺います。訓練などの激化は、もはや我慢の限界を超えています。嘉手納米軍基地を飛来している外来機の撤退を求めるべきと考えていますが、見解を伺います。
知事公室長(謝花喜一郎)
嘉手納飛行場については、航空機による騒音や悪臭、航空機事故の発生などさまざまな問題があります。また、同飛行場をめぐっては、米軍再編に伴う一部訓練移転が実施されておりますが、外来機のたび重なる飛来などにより、依然として目に見える形での負担軽減が十分にあらわれているとは言えないと考えております。さらに、ことしに入り、SACO合意の趣旨に反し、パラシュート降下訓練が繰り返されております。
県としては、今後ともあらゆる機会を通じ、周辺住民の負担軽減が図られるよう、日米両政府に対して、粘り強く働きかけていきたいと考えております。
(6)、外来機は訓練提供水域・空域で訓練をするために飛来してきます。訓練回数と事故件数を伺います。その訓練提供水域・空域の返還も求めるべきです。見解を伺います。
知事公室長(謝花喜一郎)
外来機の訓練提供区域における訓練回数、事故件数については、沖縄防衛局へ照会しているところです。ホテル・ホテル訓練区域の解除区域の拡大及び対象漁業の拡充、並びに鳥島射爆撃場及び久米島射爆撃場の返還について、県はこれまで累次にわたり、要請を行っております。鳥島射爆撃場については、長年の実弾射爆撃訓練により、島としての形状を失いつつあり、我が国の領土保全上も重大な問題であると考えております。
県としては、引き続き、日米両政府に対し、ホテル・ホテル訓練区域の解除区域の拡大及び対象漁業の拡充、並びに鳥島射爆撃場及び久米島射爆撃場の返還について、軍転協、久米島町、漁業関係団体とも連携しながら求めていきたいと考えております。
(7)、欠陥機と言われているオスプレイの事故率について伺います。オスプレイの配備撤回も求めるべきです。見解を伺います。
知事公室長(謝花喜一郎)
政府は、配備当時、オスプレイの10万飛行時間当たりのクラスAの飛行事故の事故率は、1.93と海兵隊平均を上回る高い安全を記録していると説明していました。ところが、配備後、墜落事故などが相次いで発生し、平成29年9月末時点の事故率は、3.27と約1.7倍に上昇しており、県民の不安が高まっております。
県としては、建白書の精神に基づき、オスプレイ配備に反対であり、今後とも、あらゆる機会を通じ、日米両政府に対してオスプレイの配備撤回を求めてまいります。
(8)、旧日米安保条約が発効した1952年度からことし9月時点までに在日米軍の兵士や軍属が起こした事件・事故の件数を伺います。在沖米軍基地関係で起こった性犯罪事件の実態についても伺います。事件・事故件数をなくすには米軍基地を撤去することです。所見を伺います。
知事公室長(謝花喜一郎)
復帰後、平成29年9月までに、県内で発生した米軍による事件・事故については、米軍構成員等による刑法犯検挙件数が5947件、このうち強姦等は131件、演習等に係る事件・事故としては、729件の航空機関連の事故が発生するなど多くの事件・事故が発生しております。復帰前においても、米軍による数多くの事件・事故が発生しておりますが、正確な記録は残されておりません。米軍人・軍属による事件・事故が繰り返される大きな要因は、国土面積の約0.6%にすぎない沖縄県に、在日米軍専用施設面積の約70.4%に及ぶ広大な米軍基地が存在することによる過重な基地負担などであると考えております。
県としましては、今後も粘り強く、日米両政府に対し、米軍基地の整理縮小等を求めてまいります。
4、先島諸島への自衛隊配備計画について。
防衛局は宮古島市の住民の配備反対を無視して工事を着工しておりますが、住民合意のない工事着工は容認できません。軍事的な緊張につながる先島諸島への自衛隊配備をやめるよう政府に求めるべきです。見解を伺います。
知事公室長(謝花喜一郎)
自衛隊の島嶼配備については、我が国の安全保障や地域の振興、住民生活への影響をめぐってさまざまな意見があるものと承知しております。
県としては、自衛隊の配備について、地元の理解と協力が得られるよう、政府は丁寧に説明を行うとともに、住民生活の安全・安心に十分配慮すべきであると考えております。
5、経済振興について。
(1)、沖縄経済は順調に伸びていると言われていますが、県民の所得に結びつけることができないか。
ア、99%を占めている中小企業、業者の業績アップの施策、
商工労働部長(屋比久盛敏)
近年の本県を取り巻く経済状況は、県民所得は年々増加し、年平均の完全失業率は6年連続で改善し、また有効求人倍率も復帰後最高値を更新するなど、好調に推移していると認識しております。県では、関係団体や地域からの提言等を反映した中小企業支援計画を毎年度策定し、中小企業の経営革新や創業の促進、経営基盤の強化などの施策を総合的に推進しているところであります。今後とも県内中小企業のさらなる振興に向け、関係機関や地域からの提言を反映した施策を実施していくことが重要であり、引き続き、関係機関との連携を密にし、中小企業支援に取り組んでまいります。
イ、好調な県経済を県民所得の向上にどうつなげていくのか
企画部長(川満誠一)
県民所得の向上を図るためには、収益力の高い産業を育成し、地産地消の取り組みを強化することなどにより、地域経済全体の好循環を実現することが重要であると考えております。このため、沖縄県においては、観光・リゾート産業や臨空・臨港型産業など地域特性を生かした比較優位性のある産業を振興し、域内産業を活性化させることにより、雇用の創出、所得・税収の増加を図り、好調な県経済を県民所得の向上につなげていきたいと考えております。
ウ、農林水産業の振興や食料自給率をどのように向上させていくのか。
農林水産部長(島尻勝広)
県では、亜熱帯性気候や地理的特性を生かした農林水産業の振興を図るため、沖縄21世紀ビジョン基本計画に基づき、農林水産業の所得、食料自給率の向上に取り組んでおります。これらの取り組みなどにより、農業産出額は4年連続の増加、漁業産出額は5年連続の増加となっております。
県としましては、引き続き、1、おきなわブランドの確立と生産供給体制の強化、2、流通・販売・加工対策の強化、3、フロンティア型農林水産業の振興などの施策を積極的に取り組み、農林水産物の生産拡大や高付加価値化による農林漁業者の所得、食料自給率の向上に努めてまいります。
(2)、雇用環境の改善と正規雇用対策を強化すべきです。所見を伺います。
商工労働部長(屋比久盛敏)
県としましては、雇用環境の改善や正規雇用化など、雇用の質の向上を図ることは重要であると認識しております。そのため、人材育成や雇用環境にすぐれた企業を認証する事業や正規雇用化を支援する専門家派遣事業等を実施するとともに、今年度から正規雇用化に関する相談窓口を設置するなど、県内企業の取り組みを支援しているところであります。
県としましては、引き続き、労働局や関係機関と連携し、雇用の質の向上に向けた取り組みを強化してまいります。
(3)、漁港、漁場の整備計画について。
ア、糸満漁港への高度衛生管理型荷さばき施設、冷凍冷蔵施設等を含めた整備計画
農林水産部長(島尻勝広)
県では、糸満漁港は本県唯一の第3種漁港であり、県内外の漁船の水揚げ及び県外出荷も行う産地市場として位置づけしております。平成27年度に糸満漁港における高度衛生管理型荷さばき施設の基本設計を行い、28年度に荷さばき施設整備に関連した水産物一次加工処理施設の基本設計、及び市場関連施設の配置構想を策定したところであります。
県としましては、引き続き糸満漁港における新市場整備について、漁業関係団体等と協議を継続し、消費者へ安全・安心な水産物を安定供給するための体制を早期に確立するとともに、水産業の振興に努めてまいります。
イ、泊市場の再整備を検討している那覇市との意見交換や調整を行うべきではないか
農林水産部長(島尻勝広)
県では、泊漁港は那覇市を中心とする消費地市場としての機能を有していることから、市民や観光客などの消費者ニーズに対応した漁港整備を進める計画であります。このことを踏まえ、泊漁港の再整備について、県及び那覇市担当部局による意見交換等を行っております。
県としましては、泊漁港の機能を踏まえて、糸満漁港と役割分担を図ることにより、共存共栄が図られるものと考えており、今後とも、沖縄21世紀農林水産業振興計画に基づき、第3次那覇市水産業振興基本計画とも連携し、魅力ある消費地市場の整備に向け、那覇市や県漁連等の水産関係団体と協議を継続してまいります。
ウ、南部圏の漁港、漁場・養殖場、漁礁等の整備を強力に推進すべきです。
農林水産部長(島尻勝広)
漁港・漁場整備については、国が定めた漁港漁場整備長期計画に基づき実施しているところであり、現在、離島を含む南部圏域においては、南城市ほか9市町村で12地区を採択し、整備を推進しております。漁港施設としては、海野漁港の長寿命化対策など、漁場施設は、久米島や粟国島周辺海域などで中層型浮き魚礁の新設、更新整備を実施することとしております。また、板馬養殖場では、本年度の施設機能診断を踏まえた保全対策を検討するほか、台風時の安全係留対策の要望がある港川漁港では、県単独調査費を活用して対策を検討してまいります。
(4)、沖縄本島縦貫鉄道の早期実現。LRTなどのフィーダー交通網も早期に検討し実現すべきです。見解を伺います。
企画部長(川満誠一)
県では、平成26年10月から鉄軌道の構想段階としての計画案づくりを開始し、5つのステップに分けて検討を進めているところであり、現在は、7つのルート案の比較評価を行うステップ4の段階に来ております。
県としましては、鉄軌道の早期導入に向け、年度内の計画案策定を目指して取り組むとともに、計画案策定後は、速やかに次の計画段階に移行できるよう、策定した計画案をもとに、県民一丸となって早期の事業化を国に働きかけてまいりたいと考えております。また、鉄軌道の導入に当たっては、フィーダー交通との連携も重要であることから、計画段階における駅位置等の検討とあわせ、フィーダー交通ネットワークの構築に向けて、地域の交通課題やニーズ等を踏まえながら、市町村と連携して取り組んでまいりたいと考えております。
(5)、沖縄の自然環境は太陽光、風力、波力、バイオエネルギーなどの開発と利用に恵まれた地域であると言われています。地球温暖化防止につながる再生可能エネルギーの普及推進について伺います。
商工労働部長(屋比久盛敏)
県では、沖縄21世紀ビジョンに掲げる低炭素島しょ社会の実現に向け、太陽光発電や風力発電等の地域特性に合った、地産地消型の再生可能エネルギーの導入拡大に取り組んでいるところです。具体的には、太陽光や風力をIT技術や蓄電池の活用により、最適なエネルギー需給システムを構築するなどの施策を展開しているところです。
県としましては、今後とも再生可能エネルギーの普及促進により、低炭素島しょ社会の実現に向けて取り組んでまいります。
6、障害者福祉について。
(1)、障害者の労働の権利、差別の禁止などを遵守した雇用促進を図るべきです。法定雇用率の未達成業者に対してどのような指導を行っているのか。
商工労働部長(屋比久盛敏)
本県の平成28年の民間企業における障害者の実雇用率は2.34%で、法定雇用率2.0%を上回り都道府県別順位では全国7位となっております。障害者雇用のさらなる促進のため、県や沖縄労働局等が連携し経済団体に要請を行っているほか、沖縄労働局においては、法定雇用率未達成企業への訪問・指導を実施しております。また、県においては、障害者就業・生活支援センターに支援員を配置し障害者雇用の企業開拓を行うとともに、障害者雇用優良事業所等への県知事表彰や企業向けセミナーの開催等による周知啓発を行っております。
今後とも引き続き関係機関と連携し、障害者雇用の促進に努めてまいります。
(2)、障害者の就労訓練を拡充すべきです。
子ども生活福祉部長(金城弘昌)
障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスとして、就労移行支援事業や就労継続支援事業では、利用者に対し生産活動の機会の提供、その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練を行うこととしております。障害福祉サービスによる就労支援とともに、現在、県では、IT研修を効果的に実施できるITサポートセンターの事業化に向けて取り組んでいるところであり、障害者就労訓練施策の拡充を図ってまいりたいと考えております。
(3)、障害者就労支援事業所(A型)の事業閉鎖の実態と就労促進の対策について。
子ども生活福祉部長(金城弘昌)
県内の就労継続支援A型事業所で、平成29年11月末までに県や那覇市に事業廃止届が提出された事業所は、9事業所となっており、昨年度の同時期と比較した場合1件増となっております。本年7月の厚生労働省の通知では、事業者が事業を廃止するときは、利用者支援のための新たな取り組みとして、廃止届に、利用者が希望するサービスや異動先等を記載したリストを提出するとともに、利用者の意向等を聴取した面談記録など、事業者として利用者に対し責任ある対応を図ったことが確認できる資料もあわせて提出することとしております。
県としましては、就労継続支援A型事業所の廃止により解雇された障害者に対し、適切な支援が行われるよう努めるとともに、事業者に対する指導を継続して行ってまいります。
7、暮らし、福祉行政について。
(1)、全県的な独居老人の実態調査と孤独死防止対策の強化。
子ども生活福祉部長(金城弘昌)
平成28年10月1日現在の総世帯数62万9118世帯のうち高齢者単身世帯は7万6859世帯で、当該世帯は年々増加傾向にあります。高齢者単身世帯の増加に伴い、孤独死等の懸念も高まっていることから、県では、地域の老人クラブが実施する在宅高齢者に対する話し相手や日常生活の援助を目的とした訪問活動を支援しております。また、民生委員や市町村社会福祉協議会を中心とした地域見守りネットワークが、平成29年7月1日現在で11市町村で構築されており、高齢者を初め障害者や生活困窮者等を対象にした安否確認や日常生活支援などの活動が実施されております。
(2)、若年性認知症の実態と対策。
子ども生活福祉部長(金城弘昌)
要支援・要介護認定者のうち、40歳から64歳までの若年性認知症は、平成29年3月末現在で1219人で、40歳から64歳までの人口に占める割合は、0.26%となっております。県では、平成25年度から若年性認知症支援推進事業として、相談業務の実施、本人・家族交流会、専門職研修、講演会等を行っております。また、平成29年度から新たに若年性認知症支援コーディネーターを配置し、若年性認知症に係る相談業務等を強化しております。平成29年4月から10月末までの延べ相談件数は344件で、平成28年度の年間実績の232件を上回っており、引き続き必要な相談体制を検討してまいります。
(3)、市町村の地域包括支援センターを充実させ、必要な介護サービスを給付すること。
子ども生活福祉部長(金城弘昌)
地域包括支援センターは、平成29年4月30日現在で71カ所あり、前年度より12カ所増加するなど年々増加しております。センターでは、高齢者本人や家族等からの相談に応じるとともに、権利擁護、介護予防のケアマネジメントの取り組み等により高齢者を総合的、包括的に支援しております。
県としましては、今後とも市町村と連携し、地域包括支援センターの職員の資質向上のための研修事業等必要な支援を行い、センター機能の充実を図るとともに、人員配置等の運営状況についても指導・助言を行う等により、必要な人が必要な介護が受けられるよう努めてまいります。
(4)、介護保険料・利用料の減額免除制度は、市町村と協力して実施し拡充すべきです。
子ども生活福祉部長(金城弘昌)
介護保険の第1号保険料に関しては、低所得者の軽減強化として、平成27年4月に、市町村民税非課税世帯等において、保険料基準額に対する負担割合が従来の50%から45%へ引き下げられたところであります。また、利用料に関しては、社会福祉法人等による生計困難者に対する介護保険サービスに係る利用者負担額軽減制度があり、県としましては、これらの制度が適正かつ円滑に実施されるよう市町村や関係団体へ周知しているところです。
(5)、子供の通院医療費を中学校卒業まで無料化すること。一部自己負担金をなくし窓口支払いがない現物給付に拡充すべきです。
保健医療部長(砂川靖)
こども医療費助成事業につきましては、現行制度をベースとして、未就学児を対象に平成30年10月から現物給付を導入するとともに、通院の一部自己負担金を廃止し、窓口での完全無料化を図ることを検討しているところであります。通院の対象年齢の拡大につきましては、県及び市町村の財政状況、市町村の意向、市町村間の権衡及び小児医療の提供体制に与える影響についても考慮しながら、慎重に検討する必要があると考えております。
(6)、来年度から始まる国保の都道府県化によって、市町村の国保はどうなるのか。県独自の財政支援を行い、住民の負担軽減を図ること。
保健医療部長(砂川靖)
平成30年度からの国保の都道府県単位化により、市町村は地域住民と身近な関係の中、資格管理、保険給付、保険料率の決定、賦課・徴収、保健事業等、地域におけるきめ細かい事業を引き続き担うこととなります。また、県独自の財政支援につきましては、全国知事会の合意事項、市町村間の公平性、国に求めている財政支援の意義に照らし合わせてみた場合、適当ではないと考えております。
(7)、待機児童を解消するために、認可保育園の増加計画、保育士の確保について。
子ども生活福祉部長(金城弘昌)
沖縄県におきましては、黄金っ子応援プランに基づき、平成27年度からの3年間で約1万8000人の保育定員の確保を図ることとしており、市町村の積極的な取り組みにより、目標値は達成できるものと見込んでおります。また、待機児童解消に必要な保育士数は約8900人と見込んでおり、平成29年度末までに約900人の確保が必要となっております。保育士確保に当たっては、保育士の処遇改善が重要であることから、子ども・子育て支援新制度における賃金改善の適切な実施を指導するほか、県独自の施策として、保育士の正規雇用化や年休取得及び産休取得の支援事業などにより、引き続き保育士確保に努めてまいります。
(8)、夜間保育の現状と公的支援の施策について。
子ども生活福祉部長(金城弘昌)
平成29年4月1日現在、夜間保育所は3施設となっており、このほか、延長保育により夜8時以降も開所している保育所が3施設あります。夜間保育所に係る公的支援については、公定価格の基本分単価に加えて、夜間保育加算が給付されているほか、延長保育による開所時間の前後の預かりに対する支援があります。
県においては、引き続き市町村の取り組みを支援することにより、多様な保育サービスの充実に取り組んでまいります。また、夜間の保育に対応している施設を含む認可外保育施設に対しては、入所児童の処遇向上のための給食費や健康診断費等の支援を行っており、これまで段階的に支援を拡充しております。
8、教育環境の整備について。
(1)、子供たちに豊かな教育を保障するために、小6、中2、中3も少人数学級に拡充すべきです。
教育長(平敷昭人)
県教育委員会では、これまで小学校1・2年生で30人学級、小学校3・4年生と中学校1年生で35人学級を実施しており、平成29年度からは、小学校5年生でも35人学級を実施しております。少人数学級につきましては、学習規律の定着等きめ細かな指導の充実を図るために必要と考えております。
県教育委員会としましては、少人数学級の推進について、市町村教育委員会の意向等を踏まえ、今後も取り組んでまいります。
(2)、いじめの実態を伺います。いじめを根絶するため、市町村教育委員会や関係機関と連携協力して対策を強化すべきです。その対策について伺います。
教育長(平敷昭人)
文部科学省の問題行動等調査によりますと、本県の公立小・中・高等学校等におけるいじめの認知件数は、平成27年度、小学校1430件、中学校521件、高等学校257件、特別支援学校9件の合計で2217件となっております。平成28年度は、小学校1万1180件、中学校961件、高等学校173件、特別支援学校8件の合計で1万2322件となっております。認知件数の増加は、いじめの定義がより一層周知され、児童生徒、教師、保護者ともに、ささいないじめも見逃さず、積極的に認知したことが主な要因と考えられます。いじめは決して許されるものではなく、県教育委員会では、その対策として、沖縄県いじめ対応マニュアル等を活用した取り組みや研修会による教職員の指導力の向上を図るとともに、スクールカウンセラー等の配置拡充による支援体制の充実に努めているところであります。
今後とも、関係機関や市町村教育委員会と連携しながら、県全体でいじめ防止に取り組んでまいります。
(3)、養護教諭の複数配置、スクールカウンセラー、ソーシャルワーカー、学校図書館司書など正規職員として配置し増員すべきです。
教育長(平敷昭人)
養護教諭の配置については、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律等の規定に基づき、大規模校において複数配置するなど、定数の範囲内で適切に配置しております。学校図書館司書の配置状況については、市町村立小中学校388校に1人ずつ配置されております。正規率については、県全体の状況を把握しておりませんが、県内11市に確認したところ240人が配置されており、正規率は35.0%となっております。また、県立学校においては76校全てに1人ずつ配置されており、正規率は30.3%となっております。県立学校においては、司書資格を有する事務職員の採用試験を実施し、正規率の向上に努めているところであります。スクールカウンセラーについては、公立小中学校、高等学校及び特別支援学校に110人配置されており、また、スクールソーシャルワーカーについては、各教育事務所に合わせて20人配置されております。スクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカーの正規職員化及び増員については、国においても定数化を目指す動きがあることから、今後、国の動向を注視してまいります。
(4)、高校生の貧困対策について、授業料免除額、通学費支援などを拡充すべきです。
教育長(平敷昭人)
県立高校の授業料は、高等学校等就学支援金制度により、市町村民税所得割額30万4200円未満の世帯等の生徒は実質無償となっており、約9割の県立高校生がこの支援を受けております。また、低所得世帯の高校生に対しては、奨学のための給付金事業により、通学費も含めた教育費負担軽減の支援を行っており、県立高校生の約3割が支援を受けております。平成29年度における給付額は、国公立の全日制高校生に対し、第1子の場合は年額7万5800円、兄や姉がいる第2子以降の場合は12万9700円となっております。
県教育委員会としましては、経済的に厳しい状況にある高校生への支援強化のため、給付額の増額や国庫補助率の引き上げについて、全国都道府県教育長協議会を通して、国に対し要望しているところであります。
(5)、チビチリガマ破損事件が二度と起こらないよう、沖縄戦の実相を後世に正しく継承する取り組みについて伺います。
教育長(平敷昭人)
戦後72年が経過し、戦争の風化が叫ばれる中、沖縄戦の悲惨な実相や教訓を正しく後世に継承することは重要なことであります。平和教育については、県の教育主要施策や学校教育における指導の努力点に位置づけており、各学校では、各教科や道徳の時間はもとより、慰霊の日に向けた特設授業を展開するなど、学校の教育活動全体を通して行っております。
今後とも、関係機関と連携し、沖縄戦の実相や教訓を次世代に継承し、平和教育のより一層の充実を図っていきたいと考えております。
9、農林畜産物の病害虫駆除と鳥獣被害の状況、その対策について伺います。
農林水産部長(島尻勝広)
本県は、亜熱帯の気候特性から病害虫が周年発生する環境にあり、病害虫対策については、病害虫発生予察情報の迅速化による適期防除の推進に努めております。また、イモゾウムシ等の根絶防除やミカンコミバエ等の侵入防止対策とともに、環境に配慮しながら農薬の低減を目指した防除技術の確立等に取り組んでおります。鳥獣被害対策については、有害鳥獣の銃器・捕獲箱による捕獲活動や、防鳥ネット施設等の整備、カラス等捕獲個体の買い取りなどを支援する鳥獣被害防止総合対策事業を実施しているところであります。その結果、県内における鳥獣類による被害額は、平成24年度の約2億1000万円から、28年度は約7800万円と減少傾向にあります。
県としましては、今後とも、市町村、JAなどの関係団体と連携し、病害虫及び鳥獣害対策に取り組んでまいります。
10、スポーツの振興について。
(1)、スポーツキャンプの誘致状況を伺います。
知事(翁長雄志)
沖縄県では、市町村や競技団体、スポーツコミッション沖縄と連携してスポーツキャンプの誘致に積極的に取り組んでおり、平成28年度の開催実績は323件、県外・海外からの参加人数は1万2031人で増加傾向にあります。また、経済効果の高いプロ野球やサッカーキャンプについても受け入れ市町村等と連携して継続実施や新規開拓に取り組んでいるところであります。さらに、2020年東京オリンピック・パラリンピックにおける事前キャンプに関して、ニュージーランドの空手競技を沖縄市と協力して、ソロモン諸島の水泳競技を八重瀬町と協力してそれぞれ誘致を実現したところであります。
沖縄県としましては、今後とも市町村等と連携してスポーツキャンプの誘致に積極的に取り組んでまいります。
11、産廃処理問題について。
(1)、倉敷環境の産業廃棄物処分等の許可取り消しに至った経緯と理由。
環境部長(大浜浩志)
県は、平成28年8月に情報を入手し、5回の現地調査及び5回の聞き取りを行った結果、廃棄物が不法投棄されていることを確認しました。廃棄物処理法では、許可業者が不法投棄などの情状が特に重い違反行為を行った場合、許可を取り消さなければならないと規定されていることから、同法に基づき平成29年11月20日に同社の許可を取り消しております。
(2)、ごみ山は、今後どのように処理されるのか。
環境部長(大浜浩志)
事業者の報告によると、今年9月末時点で超過廃棄物の容量は、約42万6000立方メートルとなっております。超過廃棄物については、地元自治会等との7者協議会で合意した基本合意書により、平成35年1月までに改善する計画となっております。当該基本合意書を踏まえ、今後も同社の責任において処理すべきものと考えており、同社及び同社役員に対し廃棄物処理法に基づく措置命令を発出し、適切に処理するよう求めていくこととしております。
(3)、同処理場に運搬されていた産廃は、今後どのように処理されるのか。
環境部長(大浜浩志)
今回の許可取り消し処分で同社の受け入れが停止しても、産業廃棄物については十分な量の処理能力を持つ事業者がいることから、分別を徹底すれば県内で中間処理することは十分可能であります。そのために、排出事業者及び処理業者に対し、これまで以上の分別の徹底、排出抑制及びリサイクルの推進を指導しているところであります。