沖縄戦の熾烈な地上戦から77年目の6月23日。沖縄全戦没者追悼式に出席して参りました。慰霊の日にあたり、犠牲になられた全ての御霊に心から哀悼の誠を捧げます。
今も戦没者の遺骨が発見され、不発弾も次々と見つかり戦争の傷は未だ癒えることがありません。
私たちは再び同じ過ちを繰り返さない、繰り返させない、命どぅ宝・反戦平和のために全力を尽くすことを改めて誓うものです。
平和宣言で玉城デニー知事は、県民が「基地のない平和の島」としての復帰を求めたものの、いまだ米軍基地が集中し、事件・事故、騒音、環境汚染など県民が過重な基地負担を強いられ続けていると指摘。日米地位協定の抜本的な見直し、普天間基地の速やかな運用停止を含む一日も早い危険性の除去、名護市辺野古の米軍新基地建設の断念などを「強く求めていく」と述べました。
ロシアのウクライナ侵略により命が奪われ続けている状況について「77年前の沖縄における住民を巻き込んだ地上戦の記憶を呼び起こすものであり、筆舌に尽くし難い衝撃を受けている」と指摘。国際社会の連帯と協力による一日も早い平和の回復を望むと強調しました。「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない」とのユネスコ憲章の前文を引き、「対立や分断ではなく、お互いを尊重し、対話を重ね、ともに平和を追求していくことが今求められている」と訴えました。
沖縄県遺族連合会の宮城篤正会長が追悼の言葉を述べ、沖縄市立山内小学校2年生の德元穂菜(ほのな)さんが、平和の詩「こわいをしって、へいわがわかった」を朗読しました。
22日公示された参院選で、自民党や日本維新の会、国民民主党などが、「敵基地攻撃能力」の保有をはじめ大軍拡を公約しています。ウクライナ危機を口実に、東アジアでの米国の軍事戦略に日本を組み込み、沖縄を再び戦場にしかねない危険極まりない企てです。
自民党の参院選公約は、軍事費について、対GDP(国内総生産)比2%以上も念頭に「来年度から5年以内に、防衛力の抜本的強化に必要な予算水準の達成を目指す」としています。相手国のミサイル発射拠点などを破壊する敵基地攻撃能力については「わが国への武力攻撃に対する反撃能力を保有し、これらの攻撃を抑止し、対処する」と明記しています。
しかも、「反撃能力」の対象を「ミサイル基地に限定されるものではなく、相手国の指揮統制機能等も含む」とし、国家中枢までも標的にしています。これについては自民党内でも「いたずらに周辺国を刺激するだけでなく、対処のための準備を促し、軍拡競争につながる恐れがある。…かえって衝突の危険を高めることにつながりかねない。無益であるばかりでなく、むしろ有害なことではないか」(岩屋毅・元防衛相、「東京」3日付)との指摘が上がっていました。
同党の公約は、「防衛力の抜本的強化」の理由の一つに「尖閣・台湾周辺等における軍事活動の活発化や力による一方的な現状変更を試みる中国」の存在を挙げます。
台湾有事をめぐっては、沖縄など南西諸島を拠点にした米軍と自衛隊の新たな共同作戦計画が策定されていると報じられています。これが実行されれば、広大な米軍基地が集中し、自衛隊のミサイル部隊などの配備が進む沖縄が攻撃目標となり、住民が戦闘に巻き込まれることは必至です。日本が敵基地攻撃能力を本格的に保有し、集団的自衛権の行使を認めた安保法制に基づいて自衛隊が米軍の攻撃に加われば、一層大きな戦火を呼び込むことになります。
日本維新の会も、「防衛費のGDP比2%への増額」や「専守防衛」の見直しをはじめ、敵基地攻撃兵器である「中距離ミサイル」の保有などを公約しています。国民民主党も、「打撃力(反撃力)」を整備するため「必要な防衛費を増額」すると主張しています。公明党は、「防衛力を着実に整備・強化」し、「日米同盟の抑止力・対処力の一層の向上を図る」としています。
自民・公明政権が、名護市辺野古で米軍新基地建設を強行し、沖縄戦犠牲者の遺骨が眠る本島南部の土砂を埋め立て工事に使おうとしていることも重大です。戦没者への冒涜は許されません。
沖縄県の玉城デニー知事は本土復帰50年に当たっての建議書で、沖縄の軍事強化の動きや敵基地攻撃能力保有の議論を「悲惨な沖縄戦を経験した県民の平和を希求する思いとは全く相いれるものではない」と批判しています。「沖縄戦の悲劇を再び繰り返すな」の意思を参院選で示すことが必要です。